FCoE (Fibre Channel Over Ethernet)とは？

FCoEとは

FCoEはFibre Channel over Ethernetの略で、イーサネットネットワークでファイバーチャネルフレームをカプセル化するために使用されるコンピューターネットワーク技術です。これにより、ファイバチャネルは、ファイバチャネルのプロトコルを維持しながら、10ギガビットイーサネット（またはそれ以上の速度）を使用ようになります。この仕様は、2009年にリリースされた情報技術規格国際委員会T11FC-BB-5規格の一部でした。

FCoEの機能

FCoEは、イーサネット転送スキームから独立し、イーサネットでファイバチャネルを直接送信します。 FCoEプロトコル仕様は、ファイバチャネルスタックのFC0層とFC1層をイーサネットに置き換えます。ローカルのファイバチャネル構造を保持することで、FCoEを既存のファイバチャネルネットワークや管理ソフトウェアと統合できます。

データセンターでは、TCP/IPネットワークにイーサネットを、ストレージエリアネットワーク（SAN）にFibre Channel（ファイバチャネル）を使用していました。FCoEを使用すると、ファイバチャネルは、従来のインターネットプロトコル（IP）トラフィックとともに、イーサネット上で実行される別のネットワークプロトコルになります。ISCSIはTCP/IPで実行されているのに対して、FCoEはネットワークプロトコルスタックのイーサネットで直接実行されます。その結果、FCoEはIPレイヤーでルーティングできず、ルーティングされたIPネットワークでは機能できません。

ファイバチャネルとは異なり、従来のイーサネットには優先度ベースのフロー制御がなかったため、FCoEでは優先度ベースのフロー制御メカニズム（輻輳によるフレーム損失を軽減）をサポートするためにイーサネット標準を強化する必要がありました。IEEE標準化団体は、データセンターブリッジング（DCB）タスクグループに優先順位を追加しました。

ファイバーチャネルは、イーサネットネットワーク上でファイバーチャネルの機能を提供するには、3つの主要な拡張機能が必要です。

• ネイティブファイバチャネルフレームをイーサネットフレームにカプセル化します。
• イーサネットプロトコル自体の拡張により、イーサネットファブリックが輻輳中に定期的にフレームを失うのを防ぎます。
• ファイバチャネルN_port ID（別名FCID）とイーサネットMACアドレス間のマッピングが必要です。

コンピューターは、ファイバーチャネルホストバスアダプター（HBA）とイーサネットネットワークインターフェイスコントローラー（NIC）の両方の機能を同じ物理カードに含むコンバージドネットワークアダプター（CNA）を使用してFCoEに接続できます。

CNAには、1つ以上の物理イーサネットポートがあります。FCoEカプセル化は、従来のイーサネットネットワークインターフェイスカードを使用してソフトウェアで実行できますが、FCoE CNAは、ファイバチャネルホストバスアダプタによって実行されていた低レベルのフレーム処理およびscsiプロトコル機能を（CPUから）オフロードします。

FCoE の応用

FCoE は主に、データセンターのストレージエリアネットワーク（SAN）に応用されます。FCoE はケーブル配線を減らすことができるため、データセンターでは特別な用途があります。サーバー仮想化アプリケーションでは、通常、FCoE は各サーバーに多くの物理 I/O 接続を必要とします。

FCoEを使用すると、ネットワーク（IP）とストレージ（SAN）のデータトラフィックを単一のネットワークを使用して組み合わせることができます。この組み合わせにより、次のことが可能になります。

• さまざまなストレージおよびIPネットワークに接続するために必要なネットワークインターフェイスカードの数を減らします。
• ケーブルとスイッチの数を減らします。
• 電力と冷却のコストを削減します。

FCoEのフレーム形式

FCoEは、専用のイーサタイプ0x8906を使用し、イーサネット経由でカプセル化します。単一の4ビットフィールド（バージョン）は、IEEEサブタイプの要件を満たしています。802.1Qタグはオプションですが、特定の実装に不可欠であるかもしれませんSOF（フレームの開始）とEOF（フレームの終了）は、RFC3643に従ってコーディングされています。

予約ビットは、FCoEフレームがイーサネットの最小長要件を満たしていることを確認するために使用されます。カプセル化されたファイバチャネルフレーム内では、フレームヘッダーは、カプセル化解除の直後にファイバチャネルフレームを渡すことによってストレージネットワークに接続するために予約されています。

FIP（FCoE Initialization Protocol）はFCoEの不可欠な部分です。その主な目的は、イーサネットクラウドに接続されているFCoE対応エンティティを検出し、初期化することです。FIPは、専用のイーサタイプ0x8914を使用します。

FCoEの利点

ファイバチャネルオーバーイーサネットを使用すると、次のような利点があります。

• 複雑さを低減します。ストレージ関連のトラフィックは通常のイーサネットネットワークを介して送信されるため、ファイバーチャネルスイッチは必要ありません。これにより、アーキテクチャの複雑さとコストが削減されます。
• パフォーマンスを向上します。ファイバチャネルは高速ストレージプロトコルであり、一部のストレージデバイスは最大128Gbpsの速度をサポートします。しかし、そのような機器は高額なものが多いです。したがって、多くの企業は依然として8GbpsのストレージデバイスとSANを使用しています。FCoEを使用すると、このような企業は、比較的安価なイーサネットネットワークを使用し、10Gbpsや40Gbpsなどの高速を実現できます。
• ネットワーク管理を簡略化します。イーサネットネットワークを管理・監視するためのツールは数多くあります。FCoEは標準的なイーサネットでストレージトラフィックをルーティングするため、組織は既存のネットワークツールを使用してストレージトラフィックを管理できるかもしれません。